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就活生のためのマーケティング講座:入門編

外資系の消費財メーカーやITベンチャー志望者など、マーケティングに興味のある方も多いのではないでしょうか。マーケティングの知識はビジネスだけでなく、就職活動でも大きく役立てることができます。
例えば、学生時代にサークルの新刊活動やアルバイトで人を集めることに注力した方、マーケティングの知識を存分に活用することができます。

今回は就活生の皆さんにむけて、マーケティングの基礎から応用までご紹介したいと思います。

マーケティングとは?

そもそも、マーケティングとは何なのでしょうか?Wikipediaには下記のように記載されています。

マーケティング(英: marketing)とは、企業や非営利組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその商品を効果的に得られるようにする活動」の全てを表す概念である。

(Wikipedia)

なんだかわかったようなわからないような…。
就活総研では簡略化して「モノやサービスを顧客に売るための作戦・仕組みづくり」と定義したいと思います。大枠ずれていないと思います。(ここでいう「顧客」とは、一般消費者のユーザーや企業体であるクライアントなどを総称しています)

そして、その作戦・仕組みづくりの根幹は以下の4つのPでできています。

Product:製品
Price:価格
Place:流通
Promotion:プロモーション

これらは4Pと呼ばれる要素で、マーケティングを語る上で非常に重要なものになります。これらは一見難しそうに思われるかもしれませんが、身の回りの製品やサービスにて存分に発揮されています。

具体的な製品・サービス 具体的な作戦・仕組み 一般化した分類
熱さまシート 面白く印象的なネーミング Product:製品
タダで遊べるソーシャルゲーム 始めやすくするための初期費用抑える値付け
(継続してプレイするには課金が必要)
Price:価格
高級ブランド品 ブランド力を高めるために百貨店内に店舗を持つ Place:流通
レッドブル エナジードリンク 元気が出る・効果があると思わせるCMのメッセージ Promotion:プロモーション

いかがでしょうか。世の中の売れている製品・サービスは必ず売れるための戦略・仕組みがあるのです。
なんだかマーケティングってキラキラしていてカッコいいイメージがありますね!

しかし、これら4Pはマーケティング全体をみると氷山の一角であり、これらの戦略の裏側にはもっと多くのマーケティング要素が隠れています。その要素には様々ありますが、今回は「市場機会発見」「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」などがあります。

売れるための戦略・仕組みづくり(4P)を考えるうえで、これら(「市場機会発見」「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」)はなかなか光が当たらない一見地味なプロセスですが、これらが4Pの土台となるため非常に重要度の高い要素といえます

(4Pの要素が比較的アートなイメージだとすると、これら4Pの裏側にある要素は比較的サイエンスなイメージだと思ってもらうと良いかもしれません。)

4Pの裏側にあるマーケティング要素

マーケティングの全体像

マーケティングには様々な理論がありますが、ほとんどの要素は下記の全体像に集約されます。就活を進めていく上で、マーケティングについて学ぶ機会もあるかと思いますが、頭のなかにこの全体像を地図の様に持っておき、今学んでいることがどの部分を指しているのかもイメージしながら進めていくと理解が深まります

マーケティングの全体像

マーケティングの土台

マーケティング戦略を考える上での土台となる部分で、「市場機会の発見」「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」が含まれます。少し地味な印象がありますが、この土台がしっかりしていないとその後の4Pを考えることができず、非常に重要な部分です。

マーケティングの応用

4Pと呼ばれるProduct(商品戦略)、Price(価格戦略)、Place(販売戦略)、Promotion(コミュニケーション戦略)の要素があります。実際に「どう売るか」を考える非常にワクワクするフェーズであり、「これぞマーケティング」といった華々しさがありますが、ここで正しい戦略を考えられるかは「マーケティングの土台」がしっかりしているかにかかっています。

1. 市場機会の発見

マーケティングにおける市場機会の発見の位置付け

ものを売る上で、まず必要になるのが「どこにビジネスチャンスがあるか」という市場機会の発見です。それを知るためには2つの要素、「ニーズとシーズを考えること」「環境変化を捉えること」が必要です。

*シーズとは、企業が保有している技術やノウハウのこと

3C分析:ニーズとシーズを考える

市場分析のフレームワークとして最もよく用いられるのが3C分析です。自社(Company)、顧客(Customer)、競合(Competitor)の3つの要素のCから3C分析と呼ばれます。ビジネスを取り巻くプレーヤーはおおよそこの3つに集約することができるので、それぞれについて分析しましょうということです。
3C分析では自社・顧客・競合についてさまざまな観点から分析していきますが、その際にもっとも重要になるが、顧客のニーズと自社・競合のシーズです

「ビジネスのプレーヤーは3種類(自社・顧客・競合)に分けられること」「顧客ニーズがあり、それを満たすシーズがある場合にモノが売れること」を考慮すると下記のように7つの象限に分けられ、それぞれ次のような特徴があります。

顧客ニーズとシーズ

No. 象限 解説
1 誰も満たしていない顧客ニーズ 潜在ニーズの可能性が高い。ビジネスチャンスになることも
2 自社だけが満たしている顧客ニーズ 現時点での優位性の源泉
3 自社も競合他社も満たしている顧客ニーズ 主流ビジネスの激戦区
4 競合他社のみが満たしている顧客ニーズ ここが膨らむと自社にとってはピンチ
5 自社のみが保有するシーズ ひとりよがりのシーズだが、説得次第では②に移行できる可能性もある
6 自社も競合他社も保有するシーズ 自社も競合も保有しているシーズ、③に移行する可能性もある
7 競合他社のみが保有するシーズ 競合のみが持っているシーズ④に移行すると脅威となる
3C分析からみる市場機会の例:

富士フィルムが展開している化粧品の「アスタリフト(ASTALIFT)」は、写真のフィルム製造で培った独自技術(他の化粧品メーカーにはない!)で、ユーザーの「美肌になりたい」というニーズを満たし、成功を収めています。(ちょうど②象限の部分に当たる部分でビジネスを展開しています)

PEST分析:環境変化をとらえる

3C分析で自社のビジネスに関わる3要素を分析する一方、より視野を広げて環境の変化を捉えることも重要です。自身が関わっている事業だけでなく、大局観を持たないと時代に取り残されてしまいます(例えば、フィルムカメラからデジタルカメラへの転換に乗り遅れたコダックなど)

これらのマクロ的な観点での分析にはPEST分析と呼ばれるフレームワークが有効です。PEST分析はP:Politics(政治)、E:Economy(経済)、S:Society(社会)、T:Technology(技術)の4要素から分析を行っていきます。環境が変化すると新たなビジネスチャンスが生まれ、それを狙う事ができます。。

要素  例
Politics(政治) 政治方針、法律の改正、規制緩和など
Economy(経済) 景気、株価、為替、デフレ、平均賃金など
Society(社会) 人口構成(少子高齢化など)、宗教、ライフスタイル、価値観など
Technology(技術) ネットテクノロジー、スマートフォンの普及、バイオ、ナノテクなど
PEST分析からみる市場機会の例:

ソーシャルゲームの普及・成功は環境変化の要素に依るところが多くあります。例えば、モバイル端末の高性能化(特にスマートフォンの普及)や通信速度の向上といった技術(Technology)の変化、ネットで知らない人と協力する・対戦するなどの価値観(Society)の変化の等が挙げられます。今ヒットしているゲームを10年前のフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)の時代に持って行っても同じようなヒットを期待するのは難しいでしょう。逆に環境変化をうまく捉えることで市場機会を見出すことができます。(実際にソーシャルゲームの市場が従来の据置型(プレーステーションなど)の市場を進捗しつつあります)

3C分析とPEST分析、どちらから始めるべきか

結論、どちらから始めても良いと思います。マクロのPEST分析からミクロ的な3C分析から始めても、その逆でも問題無いと思います。重要なのは、これらが互いに独立している事象ではなく、互いに関連性があるということです。(したがって同時に進めていっても良いかもしれません。)

2. セグメンテーションとターゲティング

マーケティングにおけるターゲティングの位置付け

「市場機会の発見」でなんとなく、ビジネスチャンスを見出すことができましたが、まだそれだけで「モノやサービスが売れる戦略・仕組み」が作れるわけではありません。次に必要なものはKBFを抑える必要があります。KBFとは、Key Buying Factorの略語で購買決定要因とされます。(人がものを買うときに何らか理由や決め手があるはずなのでそれを抑えましょう、という話です。)

KBFをおさえる必要性

ノートパソコンの購入におけるKBFを考えてみましょう。Mac book AirやVAIO、DELLやLet’s noteなど様々な製品が展開されていますが、みなさんはノートパソコンを購入した際にどのような点を重視して選びましたか?

「有名だから」「おしゃれだから」「壊れにくいから」「店員さんに勧められた」「安かった」いろんな要素があると思います。

しかし、大抵これらの要素はトレードオフ(どれかを重視すれば別の要素の優先度が下がる)の関係にあり、万人にウケるノートパソコンというのは存在しません。例えば、高性能なパソコンにすれば価格が上がってしまいますし、おしゃれさと頑丈さは背反してしまうことが多くあります。万人に使ってもらおうとすると、結局どれも中途半端で誰からも買ってもらえない!なんてことが起こってしまうのです。

そこで必要なのが買ってもらう顧客を特定すること(ターゲティング)です
先のPCを例に取ると、「カフェでおしゃれにパソコンを使うことに優先度が高い人」という人に特定すると自ずとMac book Airなどに特定されます。(ちなみに私はマウスが無い状態でのポインターの操作性を重視するのでThinkPadを使っています)

顧客を特定するには2つの要素「セグメンテーション」「ターゲティング」が必要となります。

セグメンテーション

セグメンテーションでは対象となる市場を原始状態からパターン化・一般化し、セグメントに分けることです。セグメンテーションをする上での切り口は3つあり、「人口動態変数」「心理変数」「行動変数」です。

人口動態変数:性別、年齢、居住地、職業、家族構成 など
心理変数:好き嫌い、志向、価値観 など
行動変数:購買頻度、購買場所、価格帯 など

ターゲティング

2.に置いてセグメントわけした中から、自社の製品の対象となるターゲットを選定します。ターゲットを決めてその顧客のKBFに合わせた商品を展開するのもありですし(ユーザー起点で製品を作る「マーケット・イン」と呼ばれたりします)、逆に自社の強みがどのようなターゲットにウケるのかを考え商品を購入してもらうのもありです(自社のシーズ起点で製品を作る「プロダクト・アウト」と呼ばれたりします)。

3. ポジショニング

マーケティングにおけるポジショニングの位置付け

ターゲットが明確になれば、次の4Pを考えていくための基本設計となるポジショニングについて考えていきます。ポジショニングの目的は、「顧客に対してどんな価値を提供するか」「競合と自社の位置付け」を明確化し、どう戦っていくかの基礎を作ることです。ポジショニングでは「ポジショニングマップ」と「ポジショニングステートメント」を考えるとよいでしょう

ポジショニングマップ

あなたが大学の学食の運営者と仮定して考えてみましょう。
大学生をターゲットとしたランチサービスを提供する主なプレーヤーは次の様にポジショニングされます。学生向けランチのポジショニング

学食は「安くて、長く時間を過ごせる」というポジションを築いています。
例えば、客単価を上げるために高級化を図ろうとすればスタバなどと競合することになりますし、回転率を上げるために制限時間を設けると牛丼チェーンなどと競合することになります。

「顧客に対してどんなポジションで価値提供するか」その位置付けが明確でないとどう戦っていくかの戦略を立てることはできません。

ポジショニングステートメント

ビジネスは1人ですべてを行うことができません。多数の人間が関わる限り共通の認識をもつ必要があります。特に「どんな顧客の、どんなニーズに対して、どんな価値を提供するか」を完結に表現するものをポジショニングステートメントといいます。

同じく、学食の運営者で新規メニューを考える場合、みんながそれぞれ思いつきのアイデアを出し合っても良いプランは生まれません。何も定めずに案を出し合うと、とんでもない方向に話が進みかねません(学食にフォアグラをいれたメニューを入れたらウケるかも!などトンチンカンなプランが採用され、大失敗する可能性もあります)。
そこで、例えば自社のポジショニングについて『「学生」に対して、「安く時間を過ごしたい」というニーズに対して、「場所と飲食物」を提供する』と規定すると、おのずと全体の認識が合致し、より顧客に刺さるサービスを展開することができます(たとえば「1杯100円のコーヒーを提供して、安く・時間を楽しんでもらうニーズを満たす」など)

これは新しい製品を企画するときだけでなく、製品の機能追加をしていく際にも重要になります。サービスの根底の概念が揺らいでしまうと既存のユーザーも離れていってしまいます。
例えば、便利だからといって、みなさんの使っているLINEに「電卓」の機能を追加したりしませんよね。LINEは『「幅広いユーザー」に対して、「フランクでリアルタイムな連絡を取りたい」というニーズに対して、「即時性のあるコミュニケーション手段」を提供するサービス(*就活総研の推定 現在はLINE MUSICなど幅が広がっていますね)』ですので、「電卓」機能は不要なのです。

4. 4Pを考える

ここまでの「市場機会の発見」「ターゲティング」「ポジショニング」にてマーケティングの基礎(「モノやサービスを売るための作戦・仕組みづくり」の土台)を作ることができました。ここからマーケティングの本丸である4Pについて考えていくことができます。

マーケティングにおける4Pの位置付け

① Product:製品戦略

1つ目のPはProductのPです。Productを構成する要素は3つ「コア」「ネーミング」「パッケージ」です。

「コア」は製品そのものの特徴。先ほどのPCを例に取ると、デザイン性に優れるMac book Air、軽量なLet’s note、頑丈さと拡張性のあるThink Padなど、製品そのものに由来する特徴です。Productのにおいて最も重要な部分であります。

「ネーミング」は製品の名前です。わかりやすく他の製品との差別化ができる名前は優位性があります。例えば小林製薬の「熱さましーと」「ブレスケア」など、商品名から何ができるプロダクトなのかがイメージでき、一度聞いたら忘れにくい名称ですね。

「パッケージ」も読んでそのまま製品周りのパッケージです。例えば、ブランド品を買うとすごくお金の掛かっていそうな包装をしてもらえますよね。もちろん製品そのものも高価なものですが、その包装(パッケージ)にもこだわることで、よりブランド価値を高めています。
また、他の事例では2007年に太宰治の『人間失格』のカバー写真を『DEATH NOTE』の小畑健氏が担当したところ、1ヶ月半で7万5千部という古典の中では異例のヒットとなりました。中身は以前と変わらない文庫本にも関わらず売上を伸ばすことに成功しています。

② Price:価格戦略

2つ目のPはPriceのPです。マーケティングだけでなく、経営においても価格戦略は大切な要素です。京セラの稲盛和夫氏も「値決めは経営」といっているように非常に重要です。

Priceを構成する要素は3つ「コスト」「バリュー」「競合」です。

まずは「コスト」、製品を販売するのにかかったコストより売値が下回ってしまうと、売れば売るほど赤字になってしまいます。したがって価格設定はコストより高くなる必要があります。場合によってはコストを下回ってでも製品の普及を狙う方法もあります。
このようにコスト寄りの(もしくはコスト以下での)プライシングを「ペネトレーション」と呼んだりします。
飲食業界でいうと、牛丼チェーン店などのイメージです(最近は値上げをしましたが、一昔前まで並盛り280円と限りなくコストに近い値となっていました。)

次は「バリュー」、その製品が持つそのものの価値となり、その製品が持つ価値を上回る価格では割高感があり、商品が売れなくなってしまいます。価格をその製品の持つ価値に限りなく近づけ高く売る方法を「スキミング」と呼んだりします。
飲食業界でいうと、高級フレンチレストランなどが近いですね(食材など料理のコストにプラスして、大切な人と過ごす価値が上乗せされた価格になっています)

最後に「競合」です。コストとバリューの間のどこかがプライシング可能領域となりますが、適正値のその目安となるのが競合の価格です。いくら価値の高いものでも競合が低価格で展開していればその値段に合わせざるを得ません。

このように価格設定は「コスト」「バリュー」「競合」の3つの要素で決まります。

※イメージとして牛丼チェーンとフレンチレストランを挙げましたが、実際は回転率などの要素も加わるためチェーン店=薄利 高級店=高利益率 とは限りません。今回は話の簡略化のためにイメージとしてお伝えします。

価格戦略の3要素:コスト・バリュー・競合

③ Place:販売戦略

3つ目のPはPlaceのPです。どんなに良い製品を作ってもそれを顧客に届けられなければ意味がありません。そのため、マーケティングにおいて流通・販売戦略が必要となるのです。Placeを構成する要素は「エリア」「密度」「種類」「長さ」です。

「エリア」は読んでそのまま展開する範囲を指します。facebookのように世界展開するサービスもあれば、アルバイト募集のフリーペーパーのようにある地域(「東京渋谷区」など)に限ったサービスもあります。ある地域に絞ったソーシャルメディアは魅力がありませんし、日本全国のアルバイトが網羅されているフリーペーパーも(無駄な情報が多すぎて)必要がありません。

「密度」はその製品を手にいれられる場所がどの程度の密度で存在するかです。価格の高い商品はわざわざ百貨店に電車で買い物に行ったりしますが、消しゴムを買うのに電車で買い物に行く人は少ないでしょう。展開する商品によってどの程度の販売密度が必要かが決まります。

「種類」はどんなお店に置いてもらうかです。高級ブランド品はコストを払ってでも価値を保つために百貨店で展開しますし、ジュースなどの飲料水はより生活に密着しているコンビニなどで展開されます。高級ブランド品がコンビニにならべられていても、ジュースが百貨店にならんでいても最適な流通経路とはいえません。

「長さ」は製造会社と最終的な顧客との間に何段階の仲介が入るかです(就活生には少しイメージがし辛い要素のようです…)。より広くより多くの顧客に展開しようとすると卸問屋などの仲介会社が必要となります。しかし、卸しを挟むほど、中間のコストがかかってしまいます。最近では販売力のある小売が直接製造元と協力して展開するプライベートブランド(トップバリューとか)がありますね。これは製品を顧客に提供するまでの長さを縮めてコストを抑える戦略なのです。

④ Promotion:コミュニケーション戦略

最後のPはPromotionのPです。Promotionには「広告戦略」と「販売戦略」の2つがあります。

「広告戦略」とは、知ってもらうための戦略で、テレビや雑誌などを通じたマス広告が当てはまります。

「販売戦略」とは、買ってもらうための戦略で、商品陳列時のPOPやクーポン、無料サンプルなどが当てはまります。

これらはAIDAの法則を考えながら設計していくと良いでしょう。

AIDAの法則

AIDAの法則(場合によってはAIDMAとも)とは、広告宣伝に対する消費者の心理のプロセスを示した略語で、顧客心理を「注意(Attention)」「関心(Interest)」「欲求(Desire)」(「記憶(Memory)」)「行動(Action)」に分解し、それぞれのフェーズに合わせた最適なプロモーション戦略を考える方法です。

例えば新刊活動のプロセスは下記の様に分解され、サークルの状況に合わせてどこに注力すべきかが変わってきます。
学生時代に頑張ったことのエピソードもこのようにマーケティングの知識を活かしながらアピールするとより相手に伝わりやすくなります。(わざとらしく使うのではなくあくまでも自然に!)

新歓活動におけるプロセス_AIDMA

 

Exercise1_ターゲットと4P・コミュニケーション戦略の整合性

ここまでの内容でマーケティングの大枠について理解することができたかと思います。最後に実在の商品(ヘルシア緑茶)を元に、成功しているプロダクトのマーケティング戦略について見て行きましょう。

「ヘルシア緑茶」のデビュー戦略
体脂肪の低減効果がある茶カテキンを大量に含む花王のヘルシア緑茶がヒットしています。茶カテキンとは、緑茶・ウーロン茶等のお茶に含まれている苦み、渋みを構成する成分の一つです。花王は社内での研究から、高濃度の茶カテキンの継続的な摂取による体脂肪の低減効果を発見しました。

2003年5月26日、花王は高濃度茶カテキンの技術を「ヘルシア緑茶」として商品化し、市場に投入しました。350mlのペットボトルに入っており、1本当たり540mgの茶カテキンを含んでいます。値段は189円と比較的高額ですが、「体脂肪が気になる方に」「1日1本を目安にお飲みください」という訴求がうけて爆発的なヒットとなりました。厚生労働省から特定保健用食品(特保)の認定を得たことも成功要因と言われています。

デビュー当時のヘルシア緑茶の販売戦略は特徴的でした。まず、まず販路を関東・甲信越のコンビニエンス・ストアのみに絞りました。スーパーにはおかなかったのです。また、TVコマーシャルは控えめであり、発売タイミングでの集中投下は行いませんでした。むしろその経営資源をコンビニへの大量陳列に振り替えた気配があります。実際、花王がヘルシア緑茶購入者に対して調査を行ったところ、「どうやってヘルシア緑茶の存在を知ったのか」という設問に対し、TVコマーシャルで知った人は3割、店頭での大量陳列を見て知った人が6割という結果でした。
その後は投入地域を全国に広げ、販路もスーパーなどに広げました。また、商品ラインナップも350mlペットボトルに加え、1 リットルペットボトル、340缶、暖かい緑茶と広げてきています。また、最近では「ヘルシアウォーター」「ヘルシア緑茶まろやか」も登場しました。今後もヘルシア緑茶の快進撃は続いていくのでしょうか。

引用:ケースで学ぶマーケティングの教科書

少し古いケースですが、マーケティングの戦略が非常にうまく活きている事がわかります。ターゲットの設定と4Pの各要素がうまく機能しあっています。下記の各要素(ターゲット、4Pの要素)とそれぞれの関連性(図中 1~10)についてどのような整合性があるか考えてみましょう。

例えばProduct(茶カテキンによる体脂肪低減効果/特保)とPrice(189円 比較的高め)の間には「値段が高いとなんだか効果がありそう」という整合性があります。この他にもどのような関連性があるのかみなさんも考えてみてください。

ターゲットと4P・コミュニケーション戦略の整合性

 

Exercise2_身の回りのマーケティング戦略を分析する

マーケティングスキルは本を読んだりレクチャーを受けただけでは身につきません(もちろんこの記事を読むだけでは不十分です)。マーケティングの感覚の養うには日頃から身の回りのマーケティング戦略について推測してみることです。世の中の多くの人の目に触れる広告は、どれもマーケティングのプロが真剣に考えてアウトプットした作品の数々です。

これらのアウトプット(皆さんの目に触れる広告)から、マーケター達がどのような戦略を描いているのかを逆算して考えてみましょう。もちろん、マーケター達の戦略がそのまま読み取れるわけではありませんが、これまでの記事を読んできたみなさんの見立てもそんなに外れたものではないと思います。プロの思考に触れてマーケティングの肌感覚を鍛えてください。

分析の方法は簡単で、マーケティング戦略を作る際の手順を逆からたどります
まずは「Promotion」のコミュニケーション戦略。その広告はどんなメッセージをあなたに伝えようとしているのでしょうか?
次に「4P」を推測します。どんな商品?価格は?どんなチャネルで販売を行っていますか?
最後に「マーケティングの土台」。競合の商品との違い(ポジショニング)は?どんな人がターゲット?どんな市場機会を狙っているのか?

身の回りのマーケティング戦略の分析手順

 

実在の商品を使った分析はこちらの記事を御覧ください

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参考文献

今回の記事の執筆には下記の書籍を参考にしています。非常にわかりやすく書いてありますのでオススメです。

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