これからの社会を生き抜く8つのキャリア方針

不確定要素が高く、グローバルでの競争を必要とされるこれからのビジネスを勝ち抜いていくために、私達はどの様な会社選び・キャリアを積んでいけばよいのでしょうか?

今回はこれから社会人になる皆さんに向けて、8つのキャリアの方針についてそれぞれの特徴とどう生き抜いていくかについてお伝えします。

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8つのキャリアの選択肢

キャリアの選択肢をカテゴライズすると下記の8パターンに帰着します。

これからの社会を生き抜く8つのキャリア方針

これからの社会を生き抜くために、組織に依存せず自身で生きていけるだけの力をつけるか、それとも組織に依存して生きていくかの2通りがあります。

前者(自身の力をつける)にはビジネス力といった客観的に評価しにくい力を付ける方法と、資格やプログラミングスキルといった客観的に評価しやすい力をつける方法の2つがあります。

後者(組織に依存する)には潰れない会社に入社するか、公務員として活躍するかの選択肢があります。

これらのキャリアについては一概に良し悪しを評価することは難しいと言えます。
みなさんそれぞれが仕事・人生に何を求めるかによって評価は変わってきます。

そこで、キャリアについて考える上で大切なのは、「自身がどの様なキャリア・人生を描きたいかを決めること」「それぞれのキャリアの特性を把握すること」だといえます

8つのキャリアパターンの特徴

では、8つのキャリアについてどの様な特徴があるのでしょうか?
もちろん企業それぞれについて特徴があるので一概には言えませんが、私が考えるキャリアの特徴は次のようになります。

 

8つのキャリア方針の特徴

「企業の安定性」は、その企業が業績を上げ続けられるか存在し続けられるかについて
「個人の安定性」はその人個人が食べていけるかどうかについて
「難易度(自身の能力)」は、自身の能力に由来する難易度について、活躍しやすい場合○、能力の高い人でしか活躍できない場合を×として定義、
「難易度(外部環境)」は、運や環境、派閥争いといった自身の能力以外の外部要因による難易度について、影響を受けにくいものを○、影響を受けやすいものを×として定義しました。

 

パターン メリット デメリット
①事業創造力をつける
(仕組みを創る)
長期的に見て◎自分がやりたいビジネスを実現することができる。自身の能力によって大きなビジネスを創りだすこともできる。 事業創造力を身につけられる環境(企業)を選ぶのが難しい。また、その力を身に付けるのも難しい。場合によってはハードワークが必要になることも。
②マネジメント力をつける
(仕組みを活かす)
長期的に見て◎ビジネスのインパクトとしても大きな仕事ができるようになる。 経営経験、もしくは多国籍チームのマネジメントなど身に付けるには厳しい出世競争を勝ち抜く必要がある。大企業の中でも限られたごく一部の人間のみ到達できるポジションで、その他大勢(99.9%)は⑤~⑦に甘んじることになる。
会社の仕組みができあがっているので、「自分がやりたいこと」ではなく「会社に必要なこと」を叶えることになる。
③ビジネスをサポートする力をつける アドバイザリーという立場であるため、複数の業界や企業と接する事ができる。一定のニーズはあるので、独立しやすい 複数の業界・企業と接することはできるが、ビジネスプロセスで一部分にしか関われないので、ビジネスの全体像はつかみにくい。
アドバイザリー側から実際にビジネスを動かす側に立ち位置を変えづらい。
独立しやすい反面、個人事業主規模にとどまってしまうことも多い。
④客観的評価可能なスキルを身につける 一定のニーズがあるため、実績を積むことができれば安定したキャリアを歩める。自身の能力をアピールしやすく、転職のハードルは低い。 資格の取得コスト(労力)がかかる。制度の変更で急激に競争が激しくなったり、価格競争となることも。
⑤環境変化に対応できる企業で働く 収入・待遇などが安定して高い。(場合によっては③のキャリアパスを歩める可能性もある) 会社は潰れないが、リストラ・転籍の可能性は十分にある。ポジションが上がるほど出世競争が激しくなり、派閥争いなど自身の能力と関係ないところでキャリアが決まってしまう可能性が高い。
⑥独自の技術・ノウハウを持つ企業で働く ビジネスの仕組みができているので比較的成果を出しやすい。 マーケットの変化に対応できないと会社が潰れる可能性あり。
競合優位性を生み出すコアな職種(研究職や企画職)に関われると強いが、その強み・仕組みを使うだけの職種(営業など)では自身の能力はつきにくい。(ビジネスの仕組みの完成度が高いほど力はつかない)
⑦アセット・権益で守られている企業で働く 安定していて、ゆとりがある。仕事以外の生き方に注力することもできる。 個人の能力ではなく会社の力でビジネスをしているので、その中にいる個人としてはほとんど力は付かない。
生涯安泰と言われる企業もあるが、東電やJALなど環境変化に対応できずキャリアが危ぶまれる可能性もゼロではない。
会社の業績が悪くなった際に、個人としての力は付いていないため、他の企業に転職・活躍することは難しい
⑧公務員として働く 失業リスクが低い。 地方公務員の場合、転職は難しい。
(国家公務員は一定の年齢までであれば転職可)

 

それぞれのキャリアパターンの詳細

1. 事業創造力をつける(仕組みを創る)

顧客に価値を提供し、その対価として報酬を得るというビジネスの仕組みそのものを創る力を身につける方法

そもそもビジネスはお金を媒介として、誰かを幸せにしたり社会を変えていったりする力を持っているので、「自身がビジネスを創りだす力がある」ということは「自身が助けたい誰かを幸せにする」「自身の理想とする社会を創りだす」ための一番効率的・効果的方法であります。

また、お金を稼ぐ上で最も普遍的であり、対価としても大きい方法であります。
たとえば、年収2000万円の人がいたとしても、生涯で得られる報酬は8億円ほどですが、自身がビジネスを生み出し、それを大きくすることができれば、数十億~数百億単位での報酬を手に入れることもできます。

また会社が大きくなれば事業創造力だけでなく、②のマネジメント側にもまわることができます

しかし、これらの力は非常に身につけにくい力であり、環境と自身の能力の両方が揃わないと身につけるのは難しいでしょう。
この力を付けたいのであればベンチャー企業で自身の力を磨いていくことがベストですが、「事業を創る人材を育てる」と標榜しているベンチャー企業はたくさんありますが、本当に事業を創る力を身につけることが出来る会社はごく一部だと言ってもよいでしょう。

また、ベンチャー企業は確率で判断すれば大企業よりも倒産リスクは高く、いつ会社が潰れても活躍デキるだけの力をつけておく必要があります。

2. マネジメント力をつける(仕組みを活かす)

大企業の役員レベルのマネジメント力を身につける方法

ほぼ完成した仕組みを活かしてビジネスができるので、通常規模の大きい仕事をすることができます
報酬としても満足のいく対価が得られる場合が多いでしょう。

一方、デメリットとしては、出世競争が激しいことがあげられるでしょう。大企業であれば毎年数百人単位で新入社員が入社しますが、役員までたどり着けるのはその中の1%もいないでしょう。
その1%に漏れてしまったその他99%の人は会社という組織に依存して生きていくことになります。(組織に依存するのがダメ ということではなく、このポジションに就けるのは本当にごく一部の人であることを認識しておいたほうが良いです)

そのため、もちろんこの出世競争を勝ち抜くだけの自身の能力が必要になるのは当然ですが、それ以上に運の要素も大きいと言えます。配属先の上司の能力や、その後の派閥争いなど、不確定要素を挙げだすときりがありません。

3. ビジネスをサポートする力をつける(アドバイザリー)

コンサルタントや投資銀行などある特定の分野においてプロフェッショナルとなり、ビジネスのアドバイザリーをする力を身につける方法

異なる業界・企業を対象にビジネスを行うので、ポータブルスキル(特定の会社だけで通用するスキルでなく、汎用的に通用するスキル)を身につけやすいといえるでしょう。
自身に力さえあればポジションを上げる事もできますし、会社に依存せず独立して自身の能力で生きていくこともできます。

一方、デメリットとしては、「アドバイザリーの立場」から「実際にビジネスを動かす立場」に移行しようとするにはハードルが高いことが挙げられます。
もちろんコンサルから事業会社に転職している人は多くいますが、その中で成功している人はどれくらいいるのでしょうか?
生涯アドバイザリーのプロとして生きていくことを望むのであれば問題ありませんが、誰かを幸せにする側、何かしら社会を変える側のポジションにつきたいのであれば、遠回りになるかもしれません。

4. 客観的に評価しやすいスキルを身につける

弁護士・会計士・社労士といった士業や、プログラマー、会社の会計担当など客観的に評価しやすいスキルを身につける方法です。

この生き方をしたいのであれば、資格を取得するのはスタートラインで、その後如何に実績を積むかが必要となります。
しかし、一度資格や実績を身に付ければ、会社に縛られず、自分の力で生きていくことができます。
フリーランスとしてワークライフバランスを保ちながら仕事を進めるのもできますし、転職においても資格と一定の実績があれば、そのハードルはかなり低いものとなります。

一方、デメリットとしては、その資格や実績を身につけるために一定のコスト(労力)がかかる事や、制度の変化で立場が危ぶまれることもあります。(実際に制度の変化で弁護士の年収は下落しつつありますし、税理士などはかなり顕著に下落しています。)

5. 環境の変化に対応できる企業で働く

トレーディング事業で業績が落ち込む中、事業投資に事業転換して収益をあげた三菱商事や、フィルムカメラの需要が激減する中で自社の技術を活かして化粧品・医療事業に転換して成功している富士フイルムなど、環境の変化に対応できる企業で生きていく方法です。

環境に合わせて自社のビジネスを転換できることは企業にとって大きな強みであり、究極的に潰れない会社といえるでしょう

ただし、会社が潰れないことと、自身のキャリアが安定していることは別であることを認識する必要があります
大企業の経営者は、これまでの日本の「従業員を守る会社像」を守ることではなく、グローバルな競争の中で合理的な経営判断を求められています。
実際に三菱商事は2000年初頭の業績悪化の際に2000人以上も単体従業員のリストラを敢行しています。

このような会社で経営層や、経営企画などの仕事で「事業転換を企画し実行するポジション」にいると(②のキャリア)にいるとエキサイティングなキャリアを歩むことができますが、そのポジションに行けるのはごくわずかであるのも現状です。

6. 独自の技術・ノウハウを持つ企業で働く

独自の技術やノウハウで競合優位性を保っている会社で働く方法です。

このような企業ではビジネスの仕組みができているので、比較的成果を出しやすいことがあげられます。
自身の能力に自身が無くても、一定の努力があれば成果を出せることは大きな魅力です。

このような会社でその競合優位性を生み出すポジション(研究開発や企画など)に就いていると高いスキルを身につける事ができます。

しかし、その競合優位性を活かすポジション(営業や運営)では、仕組みや競合優位性が優れていればいるほど自身の能力を高めることは難しいでしょう。(成果がでるのはその人が優秀だからではなく、仕組みが優秀だから

そして、普通に考えれば、仕組みを「創る側」と「回す側」の人数比は圧倒的に仕組みを回す側の方が大きくなります。
競合優位性を生み出すポジションに行くには、入社の段階からその職種に応募する(研究職などが該当します)か、厳しい競争を勝ち抜く必要があります。(企画職は基本的に会社の中でも花型であり、「仕組みを回す」ことで成果を上げたひとが一部の人が関わるようになるのが一般的です。

さらに、どんなに競合優位性の高い技術やビジネスの仕組みが合っても、マーケットの変化に対応できないと会社が潰れる可能性あります。
自分の入社する会社が競合優位性があり、更に「5. 環境に合わせて変化に対応できる会社」かどうかを見ていく必要があります。

7. アセットや権益で守られている会社で働く

許認可制の事業(電気・ガス・鉄道、テレビ局など)を展開している企業で働く方法です。
⑥との違いは、⑥は競合優位性を自社で生み出すのに対し、⑦は国などから競合優位性を与えられるものである点にあるといえます。

国からの許認可制であればそこに競争は生まれにくく、会社としても一定期間安泰といえるでしょう。
仕事以外に大切にしたいことがあるのであれば、会社側からの要求レベルが一定であるこのような職場で働くことはプラスになるでしょう

競争にさらされることはほとんどありませんが、国の制度やマーケットの変化によって一気にその優位性が崩壊することもあります。(JAL、東電など)
会社の業績が危機に陥っても、中にいる人は今まで競争に晒されたことがないため、他の会社でも通用するようなスキルはほとんど身についておらずキャリアの危機に立たされることになります

8. 公務員として働く

国家公務員、もしくは地方公務員として働く方法です。
現状ではポジションは安定していることが魅力です。

国家公務員

国のために仕事をし、国家レベルで仕事ができるの大きな達成感や満足感につながります。
ただし、そのようなポジションに就くには出世する必要があり、それには実力と運と時間が必要になります。

若いうちから何かしら社会にインパクトを与えたいのであれば別の手段を取ったほうが達成確率は高いかもしれません。

地方公務員

職種にもよりますが、自分の時間を持つこともでき、仕事以外に大切にしたいことを優先することができるでしょう。
ただし、自身の能力は身につきにくいので、キャリアの転換を希望する場合はその選択肢に限界があるでしょう。

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