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ベンチャー就活の落とし穴~事業フェーズと身につく力

今後のキャリアを考える上で、自身がどのような力を身につけたいのかを考えることは非常に重要です。
入社後にどのような力が付くかは様々な要素(業界、業種、役職など)によって決まりますが、それらの要素の1つにその会社の事業フェーズが存在します。

大企業志望の場合、ほとんどの会社の事業は「成熟フェーズ」であり、会社によって大きな差は生まれませんが、ベンチャー企業の場合、会社の事業フェーズは会社によって大きく異なります。

巷ではベンチャー企業は「成長できる」「力が付く」と言われていますが、肝心のどんな力が身につけられるかはこれらの事業フェーズに大きく左右されてしまいます
それにも関わらず、多くのベンチャー志望者は、「自分がどの様な力を付けたいのか」「その会社で力を就けることができるのか」よりも「なんだかイケてそう」「みんながスゴイと言っている」といった理由で会社選びをしてしまう人が多いのが現実です。

会社に入った後にこんなはずではなかったと後悔する前に、どのフェーズの会社に入れば自身の身につけたい力が付くのかを考えましょう

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4つの事業フェーズ

事業フェーズは下記のように4つのフェーズに分けられます。

1. 事業創造フェーズ(0→1)
事業プランニング、サービスの設計、サービスのローンチをするフェーズ

2. マネタイズ・仕組化フェーズ(1→10)
事業のマネタイズ、累損の一掃、(ピボット)、仕組み化をするフェーズ

3. 急成長フェーズ(10→100)
人員拡大、エリア拡大、売上・収益の急成長のフェーズ

4. 成熟フェーズ(100→110)
組織化、改善・効率化のフェーズ

4つのビジネスフェーズ

単一事業の会社であればその会社がどのフェーズに属するのか、複数の事業を展開している会社であればどのフェーズの事業部に配属になるのかが、大きな分かれ道になります。
では具体的にどの様な力が身につくのか見て行きましょう。

1. 成熟フェーズ(100→110)で身につく力

1.成熟フェーズ(100→110)

成熟した事業において改善・効率化を繰り返して事業成長させていくフェーズです。一般的な大企業やメガベンチャーと呼ばれる企業があてはまるでしょう。

仕事はマニュアル化、仕組み化がなされており、人材育成についても仕組化されていて、新卒で配属されたとしても活躍しやすい環境にあると言えます
身につく力としては、下記の様な社会人としての基礎力といえるでしょう。

・決められたプロジェクトをやり切る力
・改善点を見つけ、修正していく力
・(事業責任者の場合)人材マネジメント、リスクマネジメント、事業再生の力

ビジネスをスタートする人にとって活躍しやすい一方、ビジネスの大枠の仕組み・プロセスが決められており、決められた仕組みを超えることは難しいでしょう。若くから大きな裁量を持てない可能性が高いでしょう

一方、事業責任者などより上のポジションに立つことができれば、多くの従業員のマネジメントやリスクマネジメント、事業再生などより市場価値の高いスキルを身につけることができます。

ただし、事業責任者まで出世できるのは同期のなかでもほんの一握りの競争を勝ち残った人に限られます。
そして、企業が大きくなればなるほど、その人の実力以外の要素(派閥や上司の能力、運など)も無視できないのは、人によってはリスクと感じるかもしれません。

成熟フェーズの会社の目安

成熟フェーズの段階にある企業の目安としては次の要素が挙げられます。(企業によってフェーズは異なり一概に言い切れませんが、あくまで目安として考えてください)

・従業員数が1,000人以上
・新卒採用人数が100人以上
・自分の友達や親も知っている・聞いたことがあるサービスを展開している

2. 急成長フェーズ(10→100)で身につく力

2.急成長フェーズ(10→100)

ある程度の事業の仕組みができ、どんどん成長していくフェーズです。
このフェーズでは事業が急成長し人員不足が起こりがちで、上位のポジションが空いていることや、新しいポジションができやすいフェーズといえるでしょう。組織・事業が大きくなっていることを体感でき、ワクワクできるフェーズでもあります。
身につく力としては、下記のような能力が挙げられます

・若手のうちからチームのメンバーを率いて成果を出す経験を積める。
・組織・事業の拡大に合わせて手法を変えながら事業を大きくしていく
・(場合によっては)支社の立ち上げに関わる

ただし、「急成長している」ということは既に成長するための布石が打たれているということであり、既に仕事が仕組化されているため、「ビジネスの仕組みを創る」といった力はつけにくい可能性が高いでしょうあります

急成長フェーズの会社の目安

急成長フェーズの段階にある企業の目安としては次の要素が挙げられます。

・従業員数200人~1000人程度
・新卒採用人数が数十人規模
・売上が急成長している
・最近支社を立ち上げている
・最近新規上場をした
・ベンチャーを志望していない就活友達も会社の名前を聞いたことがある

3. マネタイズ・仕組化フェーズ(1→10)で身につく力

3.マネタイズ・仕組化フェーズ(1→10)

事業責任者としての手腕が問われるフェーズです。
試行錯誤し事業を収益化させ、サービスを軌道に乗せる必要があります。場合によってはピボットなど行い事業モデルを変えることもありえるでしょう。また、同時に仕組化を進め次の成長フェーズに備える必要があります。

これらは言葉にするのは簡単ですが実際に実行するのは難しく、なかなか成果が見えにくく仕事をする上でもつらいフェーズでもあります。また、会社自体の業績も急成長フェーズほど伸びないため、イケてるベンチャーとしてまだ知名度は高くない可能性があります。

しかし、このフェーズを乗り切れば事業の成長フェーズに向かうことができますし、中にいる人も市場価値の高いスキルを身につけることができます。踏ん張りどころのフェーズといえるでしょう
身につく力としては、事業の収益化、仕組化の力が挙げられます。

・事業をマネタイズし、収益を生み出す力。
・事業を仕組化させ、その後のフェーズで多くの従業員(契約社員・アルバイト含む)がビジネスに関われる体制をつくる。
・場合によっては事業転換(ピボット)が求められ、様々なビジネスの勝ち方を知っていることが求められる(YouTube, Instagram など)

マネタイズ・仕組化フェーズの企業の目安

マネタイズ・仕組化フェーズの段階にある企業の目安としては次の要素が挙げられます。

・従業員数が50人~100人程度
・新卒採用人数が5~10人程度
・ベンチャー志望者の就活生の中では比較的知られつつある
・最近、第三者割当増資などで資金調達をしている
・売上が10~50億程度

4. 事業創造フェーズ(0→1)で身につく力

4.事業創造フェーズ(0→1)

一般的に新規事業開発・起業といった、事業プランニング・サービスの設計・ローンチを行うフェーズ。
事業の仕組化はほとんどされておらず、高いスキルを持った数人から十数人ほどのメンバーが仕事を進めていくため、非常に属人性の高いフェーズといえるでしょう
このフェーズでは、次のようなビジネスをデザインする力を身につけることができるでしょう。

・事業プランニング、サービスの設計、ローンチなど、無から有を生み出すためのアイデア、発想力
・ニーズの発見・分析し、ビジネスのタネを見つける力

将来起業や事業を創りたい学生にとっては花型のようなフェーズですが、仕事の仕組み化はされておらず、属人性の高い仕事ばかりですので、ビジネスに必要なスキルを体系だって身に付けるのが難しい可能性があります
また、目の前の事業を創る、収益化させるところにリソースを奪われるため、別の事業の勝ち方を身につけるのは難しいでしょう。

事業創造フェーズの会社の目安

事業創造フェーズの段階にある企業の目安としては次の要素が挙げられます。

・従業員数数人50人未満
・新卒採用採用していない、採用しても数人程度
・新卒採用市場ではまだ知られていない。
・売上10億円未満

まとめ

上記の内容をまとめると次のようになります。

事業フェーズ別の特徴まとめ

自身が今後どの様な力を身につけたいのかを考えた上で、会社選びをしていけるようにしましょう。

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