オワハラの実態と対策~失敗しない企業との付合い方

昨今、内定の代わりに他社の選考辞退を迫るオワハラが問題視され、ニュースにもなっています(“オワハラ”の実態は 文科省が初の調査[NHK NEWS WEB])。

問題の背景には企業の問題、採用の制度・文化などの要因がありますが、「オワハラを受けた!」と短絡的に被害者意識を持つだけでは状況は何も改善されません。
オワハラの対処法は「企業に対して就活の継続について交渉し、合意を得ること」です。(嘘で乗り切るのはNGです!)

そのためにも、まずはオワハラの実態とその背景を理解し、そして上手く企業と関係を築くためのコミュニケーション方法についてお伝えしたいと思います。

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オワハラの実態

そもそも、オワハラとは?

オワハラとは「就職活動終われハラスメント」と呼ばれ、最終選考などで内定を出す代わりに他社の選考辞退(選考辞退の電話をその場でかけさせることも)を強要したり、他社の選考を受けさせないよう内定者研修として学生を拘束する行為を指します。

オワハラが行われるの背景

背景としては、就活時期が以前の4月選考スタートから8月に移行したことにより、経団連に加盟していない一部企業が早期からの選考を行い内定者の囲い込みを行うことが原因とされています。

ただし、このような選考辞退の強要することは2016年採用以前にも(一部企業では)行われており、採用に関わっていた者としてはなぜ今年(2015年)から取り上げられるのか疑問に感じます。

個人的には人材業界の飯のタネとして取り沙汰されるように感じます。就活期間の後ろ倒しで得をしているのは、採用コンサル系企業のように思います(「採用期間が変わるので新しく戦略を立てましょう!」とか「内定者を囲い込むために研修を行いましょう!」などの営業で企業から報酬を得ています)。今回のオワハラも、採用コンサルが「”オワハラ”と悪評の立たない方法教えます!」として営業していそうです。

真の要因は、就活における学生と企業との「化かし合い」の文化(学生は企業に「御社が第一志望です!」と言わなければならず、企業側も第一志望でないことを理解していながらもそれを求める)による、建設的なキャリアの意思決定ができていないことだと考えます。

それを理解するためにはなぜ企業が選考辞退を迫るのかを理解する必要があります。

なぜ企業は選考辞退を迫るのか?

企業は期初に今後の経営方針を基に採用戦略を立てていきます。そこには求める人物像や実際の選考フローなどとともに、何人内定を出し、何人入社に繋げるかも具体的な数値で決定されます。
一番重要な数値は何名の入社するかです。もちろん、内定から入社までの辞退率を計算した上で内定を出しているのですが、目標数値より少なくても事業の遂行に支障をきたしますし、多すぎても人件費が多くなり、業績に影響を与えます。目標の入社人数と実際の入社人数の乖離をできるだけ少なくしたいのです

そこで問題になるのは「内定」の法的拘束力です。学生側が企業の内定を辞退することは法的に何ら問題はありませんが、企業は一旦”内定”と伝えてしまうと、内定取り消しはできないのです。

したがって内定辞退率を下げるために、企業は他社選考の辞退のためのアクションを起こすのです。

ただし、ほとんどの企業が入社いただく方に長く働いて欲しいと考えていますので、無理やり入社させたい・他社選考を辞退させたい訳ではありません。企業としても就活生のみなさんに納得して入社してもらいたいのです

しかし、これまでの選考で「御社が第一志望です!」とか「入社したいです!」という言葉を学生から聞いているので、「入社を希望するのであれば他社の選考を辞退してください」というやりとりが発生してしまうのです。(もちろん、就活には「化かし合い」の文化が築かれてしまっているので、選考の過程でみなさんが「第一志望です」と答えるのは理解できますし、心中お察しします。)

そのため、「他社の選考辞退を迫られた」と一方的に被害者意識を持つのではなく、あなたのキャリアをあなた自身が建設的に築いていくことが求められます。もちろん企業側も改める部分は多々ありますが、みなさん自身も対処できることはありますので、受け身的に企業が変わることを待っているのではなく、主体的に動いていきましょう。

オワハラの対処法

ではそのような企業の対応に対し、私達はどのように対応すれば良いのでしょうか?
ポイントは「誠実に対応すること」と「企業のニーズを理解した上で自身の主張を通すこと」です。あなたが相手を理解し誠実な対応をとれば企業もそれを理解してくれる可能性が高まります。

一部サイトでは、企業に「入社します!」と伝えて内定をもらい、選考辞退の連絡も嘘の連絡を入れたり、研修に嘘の理由をつけて欠席する方法を紹介されていますが、嘘で乗り切っても何も問題を解決していないので、避けるほうが賢明です

なぜ選考辞退に躊躇するのか

みなさんが、他社の選考辞退を躊躇するのはその会社に一定の興味はあるが、「他に第一志望の会社がある」もしくは「他に気になる会社がある」があり、内定をもらう会社を保険として持っておきたいことが主な要因でしょう。
その会社に入社する確率は低いかもしれませんが、ゼロではありません。

そのため、遅かれ早かれ「内定をもらった企業のうち、どの企業が自身にとってベストか」を考えることを迫られます。その際、一度内定を承諾して入社します!と伝えてしまうと、後になってからその企業についてより詳細な情報を知ろうとしても、応じてもらいにくくなってしまいます。

また、ビジネスの世界は意外と狭く、他業種に入社することになってもどこかで繋がっているので、誠実に対応しましょう。不誠実な対応はこれからのあなたの信頼を損ねることにもなりかねません

企業と上手く関係を築く伝え方

選考辞退を迫られるのは、最終選考などで内定を出すフェーズに入ってからです。企業側もあなたのことを評価しており、企業と学生が対等にやりとりすることができます

早期選考を行っている企業も他企業の選考が8月スタートになっていることは理解しており、相手がまだ入社の意思決定ができていないまま選考辞退を迫ると、逆に辞退されてしまう可能性もあるため一定のロジックがあれば、あなたの主張を受け入れる可能性が高くなります。

伝え方例:

まだ、選考が始まっていない企業があり、いくつか気になる企業がある。
御社の選考でも面接官の方とお話することでどんどん会社のことを好きになっていった
他社についてもOB訪問などでお話を聞いて企業のことを知ろうとしているが、選考を通してその企業のことを知れる部分もある。

御社に入社し長く働きたいと思っているので、納得した上で入社したい。自身にとってベストなキャリア選択をするために、入社の意思決定はもう少し待って欲しい。

伝え方の注意点:

企業にとって、入社して3年以内に退職されるのはデメリット以外の何物でもありません。(ビジネスマンとして一人前になるのには3年程かかり、それまでの間は育成コストの方が高く付くのです)
したがって、会社側の「長く働いて欲しい」というニーズを踏まえ、納得した上で働きたいという主張をしていきましょう

また、「御社の選考でも面接官の方とお話することでどんどん会社のことを好きになっていった」などで相手を褒めながら自身の主張を伝えることで相手のハードルを下げることができます。

想定される企業の反応

1. 内定を保留される

他社の選考を受けたいと伝えたさいに、「(辞退しないのであれば)内定は出せない」「入社の意思決定ができれば内定を出す」などとして内定を保留されることが想定されます。
「なぜ企業は選考辞退を迫るのか?」でお伝えしたように企業側も内定取り消しが出来ない以上、仕方がない対応といえるでしょう。

この場合、「いつまで意思決定を待ってもらえるか」を確認しておきましょう。企業側もあなたのことを評価していますし、大多数の企業が8月から選考がスタートすることにより内定辞退が発生することも想定しているので、比較的待ってもらえる確率は低くはありません。

2. 他社の選考を受けて何を確かめたいのかの議論を行う

他社の選考を受けたいのは理解したが、「選考を受けることでその企業の何を確かめたいのか?」と一歩踏み込んだ質問をされることも想定されます。
企業の人事担当者はこのような対応に慣れており、あなたが付け焼き刃的にロジックを組み立てたところで必ず論破されてしまいます

この場合は「本日内定をいただけるとは思っておらず冷静に考えられていなれていないので、少し時間を置いて私が意思決定のために何を重視するか考えさせていただけないでしょうか?」として時間を稼ぎましょう。

入社の意思決定の方法についてはこちらの記事をごらんください:

入社の意思決定と内定辞退の5ステップ~複数内定獲得の際の対処法
いちど内定承諾をしたが他の会社からも内定をもらい、入社する会社を決めなければいけない。そんなあなたに向けて、今回は入社する会社を意思決定する方法と、内定辞退の方法をお伝えします。

それでも選考辞退を迫られたら?

あなたがこれまでの対応をして、それでも他社選考の辞退を迫られたら、その企業に入社することを避けておいたほうが良いでしょう。
入社する人のキャリアよりも、自社の都合、採用担当者としての自身の実績を優先するということですので、入社しても会社都合に合わせられることを強要され続けるでしょう。(そもそも、選考辞退で悩むということはそこまで入社意欲が高くはないでしょう。)

さいごに

いかがでしたでしょうか?オワハラ対応のポイントは「誠実に対応すること」と「企業のニーズを理解した上で自身の主張を通すこと」です。あなたの主張を通したいのであれば、「なぜ企業は選考辞退を強要するのか」を理解し、それを踏まえたうえで上手くコミュニケーションを取っていく必要があります。

別の企業に入社したとしても、採用で関わった企業と今後お付き合いがある可能性は十分にあります。あなたのことを評価してくれた会社だからこそ、上手く関係を築いていきましょう。

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