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【17卒】採用スケジュールの前倒しで就活生がすべき3つのこと

17年卒の採用選考の開始が8月から6月と前倒しとなることが発表されました。

これまでの採用スケジュール変更の変遷と、この変更で17卒の就活の何が変わるのか、17卒の就活生がすべきことをまとめました。

今回の変更内容とこれまでの経緯

今回のスケジュールの変更内容

10/25(日)の読売新聞の記事では下記のようにスケジュール変更について紹介されており、エントリー/会社説明会の開始が3月、選考の開始が6月となるようです。

経団連は、2017年春入社の大学生を対象とした大手企業の採用活動で、面接など選考活動の解禁日を8月から前倒しする方針を固めた。

現在より2か月早め、4年生の6月を軸に調整する。選考解禁日は16年春入社組から、従来より4か月遅い8月に変えたばかりで、日程見直しは2年連続となる。8月より前に選考を始める企業が相次ぎ、採用活動の長期化や中小企業での内定辞退の増加など、就職活動に混乱が生じたことに配慮した。

経団連は、大学側や政府とも調整し、11月中にも会社説明会や選考日程などを定めた会員企業向けの新たな採用指針案を決める。会社説明会の解禁日は、すでに会場を押さえている企業も多いため、現在の3月から変えない予定だ。

YOMIURI ONLINE「就職選考6月解禁、来年から前倒し…経団連調整」

これまでの就活のスケジュールの変遷とその結果

そもそも、就活スケジュールの変更は何故起きているのでしょうか?これまでの変遷とその結果起きた現象について考えてみましょう。

近年、就活の早期化・長期化による学業への悪影響などを理由に就活のスケジュールの後ろだおしが進んでいました。
14卒までは10月説明会開始/4月選考開始だったスケジュールが、16卒では3月説明会開始/8月選考開始までスケジュールが後ろだおしとなりました。(これまでの就活スケジュールの変遷を下図にまとめました)

※このような就活スケジュールの制約があるのは経団連に加盟している企業のみで、外資系企業やベンチャー企業には制約はありません。

就活のスケジュールの変遷

14卒採用まで

14卒採用まではエントリー/会社説明会の期間が6ヶ月、学生は比較的ゆったりと自身のキャリアについて考える期間がありました。会社説明会などで聞いてみると就活を始める前には想定していなかった業界・業種にも興味を持つようになり、結果的に自身に合っている企業を選ぶことができた人が多いように思います
企業側も時間をかけて自社をアピールする時間がしっかり持てていました。

また、選考の期間も4月スタートで内定まで6ヶ月程度あり、第一志望の会社に落ちてしまってもまだ募集をかけている企業が幾つかあるので、そのような会社の選考を受けることができました

15卒採用

15卒採用ではエントリー/会社説明会の期間が4ヶ月に短縮され、12月スタートとなりました。あくまでも私の実感ベースですが、15卒の学生は4月の選考開始ギリギリまで就職志望先に迷っている方が多かったように思います

というのも、会社説明会やOB訪問などにより「ビジネスへの理解」や「キャリア感」が醸成されないと自分に合った会社を選ぶことはできません。「この会社がベストだ!」と思い入社の意思決定をするには、いくつもの業界や業種、企業のことを理解したうえで、自分の目指すべき将来の夢や人物像に近づけることがイメージできる必要があります。
2ヶ月後ろだおしになったことから、全体的に学生の動き出しが鈍く、意思決定に必要な要素を満たせていない人が多かったのかもしれません。

企業側も12月に入らないと大々的に説明会ができないので、スケジュールがタイトな中、苦慮されたのではないでしょうか?

16卒採用

16卒採用ではエントリー/会社説明会のスタートが3月に変更されました。先述の通り、外資系企業やベンチャー企業はスケジュールの制約を受けないため学生へのアプローチを行うことができますが、経団連加盟企業は大々的にアプローチすることはできません。

3月の解禁を待っていると経団連以外の企業に先を越されてしまうため、クローズドのセミナーなどで学生との接点構築を行いました。とはいえこのようなクローズドのセミナーは企業側の費用も手間も大規模説明会よりかかってしまうため、この対象となる学生は一部のトップ層の学生に限られ、その他の多くの学生は3月のスタートまで待つ必要がありました

また、選考期間についても2ヶ月に短縮され、スタートも4月→8月に変更されました。その結果、8月の選考スタートで第一志望の企業に落ちてしまった学生は次の企業を探すことが難しくなってしまいました

16採用後ろだおしの功罪

16採用のスケジュール変更は、表向き採用期間の短縮が行われ学生・企業の負担軽減となるはずでした。

しかし、実際は「一部のエリート就活生と採用力・ブランド力の強い大企業だけが特をし、大多数の就活生や中小企業は損をする」という内容となりました。
(詳しくは、個人的に私が尊敬している人材研究所の曽和さんがわかりやすく解説しています「就活「後ろ倒し」、笑う悪質企業、泣く中小企業」)

 

また、スケジュール変更の影響を受けない外資系企業やベンチャー企業でも、内定辞退を減らすために内定者研修の頻度を増やすなどの必要がありました(私は16採用の後半から人事を離れているのでこのあたりの実態はわかりませんが、16採用のスタート時から「内定後の研修を手厚くしましょう!」といった人材系企業からの提案をいくつも受けました)。結果的に学業以外の負担が増えてしまったのかもしれません。

また、外資系企業やベンチャーに内定していたはずの学生もその後の大企業から内定をもらったことで、内定辞退が発生したとされています。

これから17卒の就活で起きること

では、17卒の就活で何が起きるのでしょうか?
一番大きな問題は「会社を知る期間の短縮化による企業理解の不足、それによる学生と企業のミスマッチング」だと考えられます。

学生と企業のミスマッチング

企業を知る期間が以前とくらべて半減!

17採用の選考期間は16卒に比べ2ヶ月増え6月開始となりましたが、エントリー/会社説明会の開始は(先述の読売新聞の記事によると「企業が説明会の会場を抑えてしまっているから」という謎理論により)3月のママとなっています。
結果、企業が学生に会社を知ってもらう期間が3ヶ月となり、14採用の6ヶ月間に比べ半減してしまっています。(これは16採用の5ヶ月間よりも短い!)

企業を知る期間が短縮されると何が起きるか?

残念ながら就活生の多くはこれまでビジネスに関わった経験が少ないため、「世の中にどんなビジネスがあるか」「働くとはどういうことか」といった知見や理解が薄くなっています
(就活を始めた頃はそれで全く問題ないのですが、)志望企業を選び、自分の今後のキャリアを考えていく際にはこれらの要素は必ず必要になります。

しかし、これら一朝一夕で醸成されるものではなく、一定の時間が必要になります。
これまでは、複数の会社説明会に参加しビジネスを理解し、OB訪問などで多くの社会人の方の話を伺うことで働くことについて考える機会を持つことができました。しかし、ここまで企業を知る期間が短縮されると、学生がこれからどんなキャリアを歩みたいかを考える前に選考がスタートしてしまうことになります。

結果、「有名/人気な企業だから」「みんなが良い企業といっているから」といった理由で志望企業を選び、「内定をもらえたから」「なんとなく、会社に惹かれたから」といった漠然とした理由で入社する会社を決めてしまうことに繋がりかねません。

入社の際の納得感が薄れることで引き起こされること

(もちろん、人気企業に入社することもフィーリングで会社を選ぶことも人それぞれだと思いますが、)入社の意思決定をする際に「自分がこの会社を選んだんだ!」という納得感がないと、結局会社に入った後に「こんなはずではなかったのに…」といったミスマッチングが発生し、早期退職者が増えることになってしまいます

というのも、大抵どの会社に入っても、入社前に想定していたこととのギャップは発生するものです。それだけでなく、これまでの人生の中では経験してこなかったような苦境や困難に直面することもあります。そんな時に、自分のモチベーションを保ち、逆境を乗り越えるベースとなるのは「入社の際の自分の覚悟」だと思います。
(「自分で意思決定してその道を選んだんだ!」と思えないと、仕事が上手くいかない理由を会社や環境など自分の外に求めてしまいがちです。)

その他 17採用で想定されること

メリット

志望企業に落ちたとしても別の就職先を探すチャンスが広がる

選考の期間は16卒よりも長くなることから、万が一第一志望の企業から内定が貰えなかったとしても、次の会社を探すチャンスは広がります。これは16採用と比べ、大きく改善された要素の1つといえます。

冬・春インターンの強化

3月の説明会解禁から6月の選考開始まで3ヶ月しか期間がありませんので、現実的にこの期間で母集団形成(みなさんが企業のマイページに情報を登録するなど、企業が採用見込み者と接点をもつこと)をするのは難しいでしょう。
となると、採用以外で学生と接点を持つ必要があり、その手段の1つとして企業でのインターンシップが強化されることが想定されます。ただし、インターンの企画、応募者の募集、選考には時間がかかりますので、冬以降のインターン(特に春インターン)を開催する企業が増える可能性があります。

デメリット

クローズドの説明会、リクルーターによる事前選考の継続

17採用が前倒しになったとはいえ、経団連の制約を受けない外資系企業・ベンチャー企業などと比べると依然として選考開始は遅くなっています。そのため、16採用から継続して選考が始まる前の水面下でのクローズドのセミナーやリクルーターによる早期選考が実施されることが想定されます。
このようなクローズドのセミナーやリクルーター選考の対象となる学生は問題ありませんが、その他の学生は引き続き3月の説明会解禁・6月の選考解禁を待つ必要があります。

会社説明会スケジュールの重複と予約争奪戦

経団連加盟企業の説明会が3月~5月の3ヶ月間に集中することからこれらのスケジュールが重複することが想定され、聞きたい企業の説明会にすべて参加するのは難しくなるかもしれません。

また、問題はスケジュールの重複だけでなく、説明会予約でも問題が起きそうです。そもそも企業が一定の期間内に開催できる説明会の回数には限りがありますので、「説明会の期間が短くなる」ということは「説明会の開催回数が少なくなる」ということに繋がるでしょう。

結果、企業側も説明会に参加する学生にフィルタリングをかけざるを得ず、その1つの手法として学歴で予約の可否を調整すること(所謂「学歴フィルター」)が強くなり、上位校の学生以外はそもそも説明会すら参加できないことが発生する可能性があります。(もちろん、学歴でフィルタリングする以外にも「説明会参加の志望理由を書かせる」などでフィルタリングする企業もあるかと思いますが、一部に限られるでしょう)

学業(試験期間)への影響

選考が6月からスタートすることにより、7月中旬から実施される各大学の期末試験とスケジュールが重なることが想定されます。6月の選考開始時にすぐ内定を貰えれば問題はありませんが、うまくいかないと選考が長期化し「期末試験の勉強時間が確保できない」「試験と選考のスケジュールが被ってしまう」といったことも発生するかもしれません。

17卒の就活生がすべき3つのこと

では、17卒の就活生はどうすべきなのでしょうか?

特に重要な問題は「会社を知る期間の短縮化による企業理解の不足、それによる学生と企業のミスマッチング」であります。先述の通り「この会社がベストだ!」と思い入社の意思決定をするには、いくつもの業界や業種、企業のことを理解したうえで、自分の目指すべき将来の夢や人物像に近づけることがイメージできることが必要となります。

そのため、「様々な業界や業種、企業を知ること」「自分が将来どうしたいか、どうありたいかを考えること」「入社の意思決定に必要な情報を集めること」が必要となります。

1. 様々な業界や業種、企業を知ること【最重要】

今回17卒の就活生がすべき最も重要ことは「様々な業界や業種、企業を知ること」です。

盲目的に「○○社がいいんだ!」と考えるよりも「A業界もB業界もC業界も見たけど、その中で○○社が一番合っていると思う」と思えるほうが、自分の意思決定に納得感が増します。
また、(納得感を得るだけでなく)、複数の業界の様々な業種の社会人と関わることで、今後の自身のキャリアを考える上でも参考となります。

17卒のみなさんは企業説明会に参加する機会が少なくなることが想定されます。したがって、大々的に会社説明会が解禁となる3月の開始以前に、なるべく多くのインターンシップやその説明会などに参加し、世の中にどんな仕事があるのか自分の知見を広めることをオススメします。

これらの情報は待ちの姿勢では得られなかったりするので、しっかり自身で情報収集を行い、積極的に行動するようにしましょう。
また、「様々な業界や業種、企業を知ること」が以下の「自分の将来像」「意思決定のための情報収集」に繋がっていきますので、可能な限り早めに行動すると良いでしょう。

17卒のみなさんができる解決法

3月以前に実施する企業説明会に参加する

採用の説明会をやっていない会社でも、インターンシップの説明を合同企業説明会などで行う会社は多く存在します。採用の情報には直結しませんが、どのような企業が存在しどのようなビジネスがあるのかを知るには良い機会となるでしょう。

現時点で興味のない会社でも、その後の自分の志向性が変わることは容易に起こりえますし、仮に志望業界が別だったとしてもビジネスを知ることや社会人の人と関わることで得られるものは多くあります。積極的に機会を活かしていきましょう。

秋・冬のインターンに参加する

また、企業の選考を行うのは6月からになりますが、インターンなどは従来通り秋・冬・春にも実施されます。

一応インターン実施の建前は「採用に関係しない」との事になっていますが、実際はインターンで優秀な成果を残した学生に対して個別に社員面談や特別選考枠などが設けられることが多々あります。気になる企業があれば積極的にインターンに応募するようにしましょう。

2. 自分が将来どうしたいのか、どうありたいのかを考えること

次に重要なのは、自分の将来について考えることです。

これらは一定ビジネスを知り、キャリア感が醸成されないと深く考えることはできません。また、すぐに答えの出る問題ではありませんので、何かしらの結論を出すには時間がかかります。そのため、「1. 様々な業界や業種、企業を知ること」を早めに終わらせておくことをオススメします。

また、3月以降は会社説明会のスケジュールが重複することが想定されます。早い段階で自分の将来の方向性が決められると、効率的に説明会で情報収集することができます

就活総研でも下記の関連記事を用意していますので、是非参考にしてみてください。

キャリアを考える3つのステップ~Want,Can,Mustをおさえる
「将来やりたいことがみつからない」そんなあなたのために、3つのステップでキャリアを考える方法をご紹介。Want,Can,Mustの3要素を意識しながら就活をすることで、あなたの理想のキャリア・就職先を見つけることができます。

3. 入社の意思決定に必要な情報を集めること

最後に、志望企業を見極めることです。企業の情報収集ができる期間が短くなるため、漫然と企業の情報を集めていては時間が足らなくなることが想定されます。したがって、予め「どんな情報があれば自分が意思決定できるか」を明確にし、その情報を集めに行くことが必要となります。

その際、自分の将来像が決まらないと何を基準に会社を選ぶかが決まらず、「意思決定に必要な情報が何か」を決めることができません。早い段階(できれば3月頃)には自分が将来どうしたいかを決め、残りの期間はOB訪問などに充てるようにできるとよいですね。

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さいごに

就活生を取り巻く環境は大人の都合によって変えられてしまい、必ずしもみなさんにとってベストな環境ではないかもしれません。

しかし、環境のせいにしていては何も前進しません。どの会社に入社するかは、これからの自分の人生に大きな影響を与えます。そして、あなたの人生に責任を持つのはあなた自身です。

自ら主体的に行動を起こし、よりよいキャリアの選択、人生の選択ができることを応援しています。

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2016/05/01 就活コラム

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