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就活生のためのリーダーシップ講座:入門編

エントリーシートや面接にて「学生時代に頑張ったこと」としてみなさんが話す「リーダーシップ」。何気なく使われている言葉ですが、リーダーシップとは何か?について理解している方は少ないように思います。

今回はそんな就活生のみなさんのために、リーダーシップとは何か?についてお伝えしていきたいと思います。

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リーダーシップについて知ることのメリット

そもそも、就活生のみなさんが何故リーダーシップについて知る必要があるのでしょうか。

1. ESや面接での自己PRのネタになる

みなさんはサークルや部活、ゼミやアルバイトなどで様々な課題に取り組んでいるかと思います。その際に、周りのメンバーに影響を与えチームを成功に導くリーダーシップの経験は欠かせません。

今回のリーダーシップを理解することは、あなたが適切にリーダーシップを発揮し、課題をクリアすることでより良い成果を上げることに繋がるでしょう。

リーダーシップについて考えた上で行動することで自己PRのネタにもなりますし、より大きな成果を残すことで他の就活生との差別化にも繋がります

2. リーダーシップを発揮したエピソードが伝えやすくなる

リーダーシップについて、あれこれ考えてたのにESや面接で伝えてみるとなんだか陳腐なものになったり、伝えてみたけれど上手く伝えられていなかったり、そんな経験はありませんか?

リーダーシップはビジネスにおいても重視されているトピックスの一つで、過去の多くの学者によって研究されています
したがって、それらを理解することで適切に自身のエピソードを伝えることができます。

また、面接官となる人事は会社の中でもリーダーシップについて常日頃考えている人達ですので(多くの社員にいかにリーダーシップを発揮してもらうかは人事の課題なのです)、彼らの土俵に立って話をすることで、あなたのエピソードをより伝えやすくする事ができます。

3. 今後、ビジネス・プライベート関係なく必要となる

リーダーシップの活用範囲は就活やビジネスだけにとどまりません。週末の飲み会や趣味の集まりなど様々な場面にてリーダーシップは活かすことができます。

これからのあなたの人生をより豊かにするために、リーダーシップを理解しておくことはプラスになります。

リーダー、リーダーシップとは

そもそもリーダー、リーダーシップとは何なのでしょうか?様々な定義がありますが、ここでは次のように定義付けたいと思います。

リーダーとは、「組織の中でまとめ役となる人物」を示す言葉であります。(一方、まとめられる側の人々をフォロワーといいます)

リーダーシップとは、「リーダーとフォロワーの間に存在する、人々の心を一つにする働きかけのこと」であり、リーダーシップが発揮されている状況は「絵を描いて目指す方向を示し、その方向に潜在的なフォロワーが喜んでついてきて絵を実現し始める」場面といえます。
ポイントは、リーダーシップとはリーダーとフォロワーの間に存在するものであり、リーダーの中に存在するものではないとされています。

リーダーとリーダーシップ

正確にはリーダーシップとはリーダーとフォロワーの間に漂うものであり、リーダーの言動を見てフォロワーがどう意味づけるかというプロセスの中に存在するとされます(ワシントン大学 Terrence R. Mitchell、ノースウェスタン大学 Bobby J. Calder などによるリーダーシップの帰属理論)

PM理論によるリーダーシップの4分類

PM理論とは?

PM理論とはリーダーシップについて、P軸(パフォーマンス:目標達成のための機能)とM軸(メンテナンス:)の2軸で分類する方法です。
それぞれの機能について高度に行っている場合に大文字、あまり行っていない場合に小文字で表し、PM型、P型、M型、pm型の4通りが存在します。

PM理論とリーダーシップの4分類P行動とM行動をテニスサークルのキャプテンを例に考えてみましょう。

P行動は、試合で勝つためにメンバーの気合を入れる、練習メニューを工夫する、ミスで負けた人を叱るなどの監督行動があてはまります。(鬼軍曹的リーダーのイメージ)

一方、M行動はスランプに陥ったメンバーの悩みを聞いてあげたり、飲み会で盛り上がったり、チームの団結力を高めるような行動が当てはまります。(浪花節的なリーダーのイメージ)

P行動、M行動のセルフチェック

みなさんが自身のリーダーシップのスタイルを確認したければ下記の16個の項目について1~5点でP,Mそれぞれの行動について採点してみるとよいでしょう。

セルフチェック項目
P行動 M行動
規則に決められた事項にあなたが従うことをやかましく言いますか? あなたは、仕事のことであなたの上司と気軽に話し合うことができますか?
あなた方の仕事に関してどの程度指示命令をあたえますか? 全般的に見てあなたの上司はあなたを支持してくれますか?
仕事量のことをやかましくいいますか? 個人的な問題でも気を配ってくれますか?
所定の時間までに仕事を完了させるように要求しますか? あなたを信頼していると思いますか?
あなた方を最大限に働かせようとすることがありますか? あなたが優れた仕事をした時には、それを認めてくれますか?
あなたがマズい仕事をやった時、あなた自身を責めるのではなく、仕事ぶりのまずさをせめますか? あなたの職場で問題が起こった時、あなたの上司はあなたの意見を求めますか?
仕事の進み具体についての報告を求めますか? 昇進や昇給など、あなたの将来について気を配ってくれますか?
毎月の目標達のための計画をどの程度綿密に立てますか? あなた方を公平に取り扱ってくれますか?

(出展)金井壽宏『リーダーシップ入門』P214 より

採点基準

5 : まったくその通りだ
4 : かなり当てはまる
3 : どちらとも言えない
2 : あまり当てはまらない
1 : ぜんぜん違う

リーダーシップの研究対象はビジネスの場面を想定しているので、上記の質問を適宜みなさんのサークルでの出来事に置き換えて考えるとよいでしょう。

サークルなどで幹部メンバーが複数いる場合は、全員のP/Mタイプについてスコアを出し、その平均から高いか低いかによってP/p , M/m の境界を求めることができます。
(ざっくり採点してみるだけでも大体のタイプはわかるかと思います。)

一般的にPM型(パフォーマンス行動、メンテナンス行動ともに高度に達成している場合)において、最も大きなリーダーシップの効果を得られるとされています。

具体的なリーダーシップのタイプ

人々の心を1つにする働きかけをリーダーシップと定義しましたが、その発揮の方法は多種多様です。先ほどPM理論によりリーダーシップについて分類しましたが、より具体的にどの様なリーダーシップのタイプがあるのかを見て行きましょう。
今回は「変革型リーダーシップ」と「サーバントリーダーシップ」についてご紹介したいと思います。

変革型リーダーシップ

変革型リーダーシップとは?

変革型リーダーシップとは、組織変革を実現し、フォロワーの意識改革を促すリーダーシップのことで、現在のリーダーシップ理論の中心にあると言えます。

変革型リーダーシップの起こりは1970年台のアメリカであり、経済環境の変化から変革型リーダーシップが注目されるようになりました。というのも、高度経済成長期の日本企業の台頭によって米国企業の経営が脅かされ、組織の抜本的な見直しが必要とされたからです。
したがって、日常業務における生産性や効率性を追求するリーダーシップから、組織を改革し人々の意識を変革するリーダーシップの重要性が増してきたのです。

現在においても、アジア諸国をはじめとする新興国の台頭やビジネスのライフサイクルの短命化などから経済環境の変化はますます激しくなっており、その必要性は高まっています。

変革型リーダーシップに必要な要素

変革型リーダーシップには「大きな絵を描くこと」と「大勢の人々を巻き込むこと」が必要とされます
「大きな絵を描くこと」とは、組織ビジョンを示し、その達成に向けて課題を設定し、戦略・戦術を考えていくことです(「課題関連行動」とも言われます)。
一方、「大勢の人々を巻き込むこと」とは、ビジョンの達成に向けて関わる人々(フォロワーだけでなく、チームを取り巻くを利害関係者も含む)の信頼を蓄積し人脈(ネットワーク)を構築し、実行に移していくことです(「人間関連行動」ともいわれます)。

サーバントリーダーシップ

「リーダーシップ」と聞くと、チームの先頭に立ち、グイグイチームを引っ張っていくことを想像しがちですが、それとは違った形のリーダーシップも存在します。その1つがサーバントリーダーシップです。

サーバントリーダーシップとは?

サーバントリーダーシップとは「まず相手に奉仕し、その後に相手を導くもの」として定義されています(アメリカのロバート・グリーンリーフ博士が提唱)。
従来の「リーダーがトップとして君臨し、リーダーのためにフォロワーが貢献する」という構造から、「フォロワーを支えるためにリーダーが存在する」という構造に転換しているのが特徴で、(昔から存在しているものの、研究対象としては)比較的新しいリーダーシップのタイプになります。

サーバントリーダーシップにおけるリーダーは、フォロワーの意見に傾聴・共感し彼らの自主性を尊重し、フォロワーの成長や成功に貢献することが求められます。
その結果、リーダーとフォロワーに信頼関係が育まれコミュニケーションが円滑になり、それぞれのフォロワーが自ら組織を引っ張っていき、目標を達成することができます。

従来のリーダーシップとサーバントリーダーシップ

サーバントリーダーシップに必要とされる要素

サーバントリーダーシップには、正しい方向性を見抜き(先見力・予見力)、フォロワーを理解し(傾聴・共感)、彼らの成長を支え(コーチング・メンタリング)、成功に導く(気付きを与える・説得・環境づくり)ことが求められます。

入門編のさいごに

ここで示したリーダー・リーダーシップは数ある定義の1つに過ぎません。学術的研究においてもリーダーシップについては様々論じられ、さらにビジネスの現場では経営者をはじめとするリーダーがそれぞれ持論のリーダーシップを展開しています。
リーダーシップの世界は奥が深いので興味をもった方は是非勉強してみてください。

参考図書

リーダーシップの全体像についてざっくり解説してあります。イラスト多めでわかりやすく書かれていますので入門書としてはオススメです。

リーダーシップについてより知りたい方はこちらの書籍がオススメです。リーダーシップの理論から実際のビジネスの現場でのリーダーシップまで、体系的にまとめられています。先述の書籍と比べると少し堅めの文体ですが、初めての方でもわかりやすく書かれています。

著者の金井先生は神戸大学で経営学(特にモチベーション、リーダーシップ、キャリアなど、人の心理・生涯発達に関わるテーマ)について研究されており、人事なら必ず彼の書籍は読んだことがあるでしょう。

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