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就活生のためのロジカルシンキング講座:基礎編~論理的思考力とは?

就職活動を始めると耳にするロジカルシンキング。就活においても、今後のビジネスの場面でも必要とされるスキルですが、なんだか難しそうな印象がありますね。

今回は就活生のみなさんに向けて、そもそもロジカルシンキングとは何か、何故ロジカルに考える必要があるのか、ロジカルシンキングの基礎、などについてお伝えしていきたいと思います。

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ロジカルシンキングとは?

ロジカルシンキングとは、聞き手の求めている課題に対して構造的に物事を考え・相手に適切に伝える方法です。
なんだか当たり前のような気がして、わかったようなわからないような感じがしますが、これ、すごく重要です。

就活生の中では「ロジカルシンキング」=「MECE(後述しますが、もれなくダブりなく)に分解すること」「ロジックツリーを作ること」「要素を因数分解すること」のように捉えられていて、本質を理解していない方が多いように思います。(なんだかカッコ良さそうな言葉でそれっぽく考えているように見えますが、それに至る基礎部分の方が重要なのです。)
もちろんMECEに分解したりボトルネックを特定したりするのは重要なのですが、それは手段であって目的ではないのです。

あくまでも論理的に考え・伝える目的は「相手の課題に対して納得感のある答えを提供し、何らかのアクションを取ってもらうこと」なのです。

ロジカルシンキングの系統

もちろん、就活にはフェルミ推定のようなテクニック的な要素も必要とされる場面はありますが、今回はより基礎的な論理的に物事を考える方法についてお伝えしていきたいと思います。

相手が納得し、何らかの反応をとるために必要な要素

話しの聞き手があなたの意見に納得し、何らかの反応を起こしてもらうには2つの要素がひつようになります。
それは「相手が納得するロジックを組み立てること」と「相手の立場を踏まえて話をすること」の2つです。

1. 相手が納得するロジックを組み立てること

なぜ、論理的に考える必要があるのか?

論理的な考え・説明が求められるのは、異なるバックグラウンドの相手に対して自分の考えを伝え、こちらの期待するアクションをとってもらう場面が多いでしょう。

みなさんもイメージしてもらいたいのですが、例えば、似たものが集まっているサークル内での打ち合わせは、ロジックとか関係なく阿吽の呼吸でなんとか運営が進むものです。
しかし、他サークルも集まる学園祭の模擬店のに関する打ち合わせには、なんとなく納得感のある説明が必要になりそうですよね。それは異なる価値観や利害関係を持つメンバーと合意を得て(納得してもらい)物事を進めていくためには、万人共通の思考体系である「論理性」が必要になるからです。逆に、非論理的な主張では相手の納得は得られず、期待するアクションを起こすことはできません。

今後のビジネスの場面では、利害関係が対立する相手(「売り手は高く売りたく」「買い手は安く買いたく」そもそも対立している)や、異なる国籍・人種・宗教の方々と仕事を進めていく必要があり、この論理性はますます必要になっていきます。

また、みなさんの直面している就活においても、採用する側とされる側という異なる立場の相手同士が、お互いを知り理解するためには論理的に主張を伝えることが必要となりるのです。

就活生にありがちな、非論理的な主張

論理的に伝える目的は「相手の課題に対して納得感のある答えを提供し、何らかのアクションを取ってもらうこと」とお伝えしましたが、逆に納得感のない答えってどんな答えなのでしょうか?

たとえば、面接の場面で次のようなやりとりがあったとします。

【会話例1】

面接官:何故テニスサークルの大会で優勝することができたのですか?

学生:はい、メンバー同士のLINEグループを作ったからです!サークルのメンバー全員にグループに参加してもらって、みんなが日頃考えていることを積極的に投稿してもらいました。結果、大会で優勝することが出来ました!

いかがでしょうか。あなたが客観的な立場で聞いていたら、どのような感想を持ちますか?なんだか嘘っぽくて「ホンマかいな!」とツッコミたくなりますよね。

人が納得しない時の反応とその原因

人が納得感の無い話を聞いた場合の反応は主に次の2つです。「本当にそれだけなの?」「本当にそうなの?」です。
先述の面接官と学生の会話例では、「LINEのグループを作る以外にも、優勝するために他にやったことあるのでは?(本当にそれだけなの?)」や「日頃考えていることを共有することで大会で優勝できるの?(本当にそうなの?)」といった疑問が浮かびます。

本当にそれだけなの?と受け取られる原因

本当にそれだけなの?と受け取られる原因は、「話の網羅性が抜けていること(横の論理)」です。先の話では、「テニスの技術面は?」「SNS以外にもやり方はあるのでは?」など、聞き手が納得する上で必要な情報が抜け漏れてしまっています。結果的に全体観がつかめず、相手の納得感が得られなくなってしまいます。

本当にそうなの?と受け取られる原因

本当にそうなの?と受け取られる原因は、「話が繋がっていないこと(縦の論理)」です(いわゆる「風が吹けば桶屋が儲かる」的な状態です)。何故、「日頃考えていることを共有すること」が「大会での優勝」に繋がるのかの説明がないので、納得感が得られません。

納得感を持ってもらうために必要な要素

では、どのように伝えれば相手の納得感が高まるのでしょうか?同じく、面接での会話例を見てみましょう。

【会話例2】

面接官:何故テニスサークルの大会で優勝することができたのですか?

学生:はい、メンバー同士のLINEグループを作ったからです!テニスの試合で勝つには技術面とメンタル面があるのですが、私達のサークルは技術力はあるのに試合で競り負けてしまい、メンタル面が課題となっていました。
特に大会に出る選抜メンバーとその他のメンバーの間の溝があり、それを解決する必要がありました。
週に1度のMTGの機会は持っていたのですが全員が発言することはできないため、LINEのグループを作ることでみんなが日頃考えていることを共有することができ、一体感が生まれ、試合に勝つことが出来ました。

先ほどの会話例と伝えている内容は同じですが、より納得感のある伝え方になっています。それは、「横の理論」と「縦の理論」があるからです。

納得感を持ってもらうために必要な要素

 

横の論理は、必要な要素が抜けもれなく(ダブリなく)語られていることです。いわゆる、MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)の状態です。先ほどの会話例1では「技術面」の話や「対面でのコミュニケーション」の話が抜けており、これが納得感を下げる要因になっています。

そして縦の論理は、話の論理が繋がっていることです。いわゆる「Why So? So What?」が説明できる状態です。先ほどの例では、「メンバーの考えの共有」と「大会での優勝」の間に「一体感のなさ(考えを共有することで一体感が生まれること)」の話が抜けているため論理が飛躍しており、納得度を下げる要因となっています。

2. 相手の立場を踏まえて話をすること

話しの聞き手があなたの意見に納得し、何らかの反応を起こしてもらうには必要な要素の2つ目は「相手の立場を踏まえて話をすること」です。一見ロジックとは関係ないごく当たり前のように思われるかもしれませんが、論理的に物事を考える上で、非常に重要な要素の1つです。では、具体的にどのようなことを指しているのかご紹介したいと思います。

相手の立場を踏まえた回答とは?

例えば、あなたが友達から「オススメのカフェは?」と尋ねられたとします。あなたは友達に対して最適なアウトプットを出すことができますか?
スタバ、タリーズ、ドトール、エクセルシオール、個人経営の喫茶店…、何が最適な答えなのか返答に困ってしまうのかと思います。

では、何故返答に困ってしまうのでしょうか?それは質問者側の「現状」「理想」「(理想と現状を踏まえた上での)疑問」を把握できていないからです。

オススメのカフェについて次のように尋ねられた場合はどうでしょうか。

「今、大学の近くにいて(現状)、友人10人と落ち着いてサークルのMTGができる(理想)カフェを探しているが、どのカフェが最適か(疑問)教えてほしい」

先ほどの質問に比べてより最適な返答をすることができると思います。(大学近くで大人数なら学食が一番だよ!とか)

現状・理想・聞き手の疑問を把握する

このように「現状」「理想」「聞き手の疑問」の3要素が明確になると答えを明確に出しやすいのですが、日々のコミュニケーション(ビジネスだけでなく、面接の場面においても)では往々にしてこれらの要素が欠けてしまいがちです。

そのため、答える側はこれらの3要素を明確にしながら(場合によっては聞き手に認識のすり合わせをしながら)話をしていく必要があるのです。

論理的に考え、伝えるための3つのステップ

では、論理的に考え、伝えるにはどのようにすれば良いのでしょうか?そのために必要になるステップは次の3つです。

1. 聞く(相手のトピックスをつかむ)
2. 考える(構造的に物事を考え、縦と横の論理をおさえる)
3. 伝える(メインメッセージを伝える)

「聞く」ステップでは、相手の「現状」「理想」「疑問」を明確にしながら理解し、場合によっては質問の意図を確認することが必要となります。

就活生のためのロジカルシンキング講座:実践編①聞く力~話の論点をつかむ
ロジカルシンキング、コミュニケーション能力に必要な「聞く力」についてお伝えします。相手の疑問に対して最適な回答をするためには現状・理想・相手の疑問の3要素を抑える必要があります。面接など就活の場面での活用方法についてもご紹介

「考える」ステップでは、3要素を踏まえて、どのような返答が最適なのか相手が納得するロジック(縦の理論と横の理論)を組み立てることが必要となります。
「伝える」ステップでは、考えたことを相手にわかりやすく伝えるためのコミュニケーション能力が必要となります。

これらそれぞれのステップについては「就活生のためのロジカルシンキング講座:実践編」にてお伝えしていきます。

参考図書

ロジカルシンキングについて書かれたものは多数ありますが下記のモノがオススメです。

元マッキンゼーの著者によりロジカルシンキングについて網羅されている。
ロジカルシンキングの教科書的な存在。

 

比較的難し目であるが、どのコンサルファームでもはじめに読む様に言われる本。

上のバーバラ・ミントの本をわかりやすく書いてあります。

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