エントリー管理システムの裏側~マイページ登録はなぜ面倒か~
みなさん企業にエントリーする際に企業ごとのマイページにログインしたことがあると思います。
長々と個人情報を入力してメッセージがとどいたり、面接の予約をしたりするアレです。
今回はその採用システムの裏側についてお話したいと思います。
新卒採用システムの種類
応募者管理システムを提供している会社は主に3種類、マイナビが提供するAOL(アクセスオンライン)、リクルート提供するR-Ship、ディスコ(日経就職ナビ、BOSTON CAREER FORUM)のD-RMSなどがあります。
採用媒体+情報管理データベースでビジネスをしているわけです。
当然リクナビ→R-Ship、マイナビ→AOL、ディスコ→D-RMSは連携しています。
AOL(マイナビ社)
企業のマイページのURLが「https://job.axol.jp/***」となっているものはマイナビ社のシステムです。
みなさんも一度は目にしたことがあると思います。
16採用でも三菱商事やマッキンゼー、ゴールドマン・サックスなどで採用されていますね。
多くの企業で採用されているのは、マイナビ社のシステムは必要な機能がシンプルに構成されているので非常に使い勝手がよいことがあげられると思います。
私も応募者管理のしやすいAOLをメインで使っています。
R-Ship(リクルート社)
リクナビの企業向けページによると「リクナビ掲載の基本企画120万円、WEBエントリーシステム 90万円、説明会・面接予約画面A 60万円、最低限パッケージで90万円から」とのこと。
定価価格なので、企業によって金額は上下します。
個人的にはシステムが複雑・冗長でレスポンスが遅いため、導入してはいますが、あまり使っていません…。
D-RMS(ディスコ)
R-Shipと同じく、レスポンス遅めなのと、日経就職ナビ利用者数がお多くないためサービスは導入していません。
ちなみに、日経就職ナビは金融系の企業に強いと言われています。
エントリーの際に別の就活サイトに飛ばされる理由
ある就活サイトで企業情報をみてエントリーしようと思ったら別の就活サイトのリンクが貼られていていた…そんな経験ありませんか?
なぜそんな面倒なことが起こるかというと、企業側が学生の情報DBを一括管理したいからなんですよね。
というのも、複数のデータベースで管理しているとその分手間が増えますし、ミスも増えます。
したがって、登録の段階から1箇所に決めてしまうわけです。
また、学生側はリクナビの知名度が高く企業側はマイナビのシステムの方が使いやすいため、データのコンバートがスムーズに行われず、毎回あの面倒な登録が必要になってしまいます。
(リクナビが管理しやすいDBシステムを再構築するか、マイナビが学生側のユーザビリティの高いシステムにリニューアルできると良いのですが…。)
AOLので管理できること
マイナビのアクセスオンラインで管理できるものは下記のものが挙げられます。(15年3月現在のものであり、パッケージ内容によって機能追加などができますので一例として)
・応募者の個人情報の管理
・説明会・面接の受付、選考結果の管理
・お知らせや選考結果メールの自動配信設定
また、特定の絞込条件によって表示させる内容を変えることができるので、選考フェーズごとにマイページの受付内容を変えたり、大学別に表示内容や送信するメッセージを変えることもシステム上可能です。
よく、上位校の学生のマイページには企業説明会に空席があるけど、それ以外の大学の学生には満席と表示されるのは、この条件で分岐させているからです。
(すべての企業が大学別にマイページを分岐させているわけではありませんのでご注意を)
同じくメールの自動配信もできます(配信条件や時間帯の設定可)。
説明会の予約の際の確認メール、面接のリマインドメール等はこの機能で送られています。
マイページ登録の際に入力が面倒なのは、こういったバックグラウンドの処理があるのも一員です。
正確に入力させないとエラーになってしまいます(「慶應」と「慶応」とかね)
また、AOLの履歴で残るものとしては、下記のもの挙げられます。
・ログイン履歴(回数・日時・アクセスがPCかモバイルか)
・受付履歴(説明会や面接の受付日時、変更履歴)
・レターボックス(マイページ内のメッセージボックス)の開封状況
これらの履歴はほとんどの場合、いちいち確認したり選考結果に影響したりは無いと思いいます。
余談ですが、マイページのIDについて一般的に6桁の数字になりますが、「2*****」と2から始まる数字はAOLの登録画面からのエントリー、「1*****」と1から始まる数字はマイナビからのエントリーになります。
どちらからエントリーしようと変わりません。
【補足】 採用する側の取り組み
ここまでの内容を踏まえると、なんだか採用する側の都合で学生さんたちに不便を強いているように思われるかもしれませんが、企業側もなんとかみなさんの労力を少なくできるように工夫しています。
例えば、みなさんも合同企業説明会などで手書きで個人情報を書いたカーボンコピーを企業に渡したりしていますよね。
あれ実はイベントが終わった後に手書きのシートを手作業でデータに起こしています。
もちろん大企業などであれば専門の業者に外注したりしますが、私の場合は自分でタイピングしなおしています。(1イベントで数百人分あるので腱鞘炎になりそうです…)
ほかにも、エントリー機能だけ自社で開発して面倒な入力を省くなど、みなさんがなるべく不便な思いをしなくていいように工夫しています。
さいごに
応募者管理システムの裏側はこんな感じになっています。
なので、企業側もすき好んで皆さんに意地悪したいわけではないのです…
毎回入力が大変なマイページのエントリーですが、少し辛抱してエントリーしてもらえると幸いです。
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