企業の人事は何によって評価されるか
皆さんは企業の人事から面接を受けることになりますが、逆に企業の新卒採用担当者は何によって評価されるのでしょうか?
今回は新卒採用の裏側についてお伝えしたいと思います。
新卒採用担当者は何によって評価されるのか
ズバリ、評価のポイントは「費用対効果」「採用人数」「採用した学生の質」の3点がメインになることが多いでしょう。
費用対効果
新卒採用は多額の費用が発生します。
例えば、多額の資金を投入しているワークスアプリケーションズであれば、採用広告費に5.2億円、インターン費用に10.3億円 使用していることがIR資料より読み取れます。(2008年7月1日~2009年6月30日 有価証券報告書より)
もちろんこれらは外注費であり、採用にかかった人件費などは含まれていないため、実際に採用に掛けた費用はより膨大になります。
採用費をかけすぎると企業の収益性を損なうため、いかに費用対効果を高めるかが重要になります。
そのため、より効率的な採用に向けて、外注費(社外への支払い)、工数削減(採用のために社員が使う時間)の削減が求められます。
採用コストの評価は一目瞭然で、「採用のトータルコスト」、「一人あたり採用コスト(トータルコスト/採用人数)」などで定量的に評価するされます。一般的に採用コストは50~200万円/人と言われています。
採用人数
企業の採用では、まずはじめに何名採用するかが決められています。
採用人数は、今後の事業計画(事業成長に合わせてどれくらい人員が必要か)、経営戦略(人件費をコントロールするためにどれくらい採用するか)、育成計画(既存の社員のパワーをどれくらいかけて、どのように育成していくのか)などから導き出されます。
そのため、経営側から与えられた採用人数に対して実際の入社人数は多くても少なくてもいけません。採用人数に狂いが出ると事業計画にも支障をきたしてしまいます。
余談ですが、企業は内定辞退を嫌う理由もここにあります。
もちろん、辞退を見込んで内定を出している企業も多いが、内定辞退が発生すると採用人数の計画が狂うため、内定辞退を一定の割合に留めること(面接やその後の個別の接触において会社の魅力を伝え辞退率を下げること)が求められます。
採用した学生の質
採用した学生の質は採用コスト・採用人数に比べ定量的に評価することが難しい要素でもあります。
というのも、そもそも人の能力を定量的に示すことは難しく(社内の人事評価ですら各企業が悪戦苦闘している状態)、さらに未だビジネスの現場に出ていない学生の能力を評価するのは更に難しくなりうます(学生の能力はどんぐりの背くらべ状態です)。
本来、採用した人材が優れているのかどうかは、数年ビジネスの経験を積まないと判断できませんが、それでは人事の評価をするには時間がかかりすぎてしまいます。
そのため、わかりやすい指標として学歴や所属コミュニティーが用いられることが多くあります。
今年の採用では「東大生○○人、京大生○○人、慶應生○○人」もしくは「体育会○○部」といったように所属大学の人数で評価されるることがあります。
採用担当の評価の問題点
企業の採用担当の評価の問題点としては、「採用すること」自体ががゴールになってしまうことです。
その原因としては、「評価までの時間の短さ」「採用と育成が離れていること」の2点があります
【1】評価までの時間の短さ
本来であれば採用の良し悪し、特に採用した人材の質については数年間実務経験を経た上でしか判断することはできません。
しかし、採用担当者の評価(査定)は半年、1年毎に行われるため、本当に会社の成長につながる人材が採用されているのかは評価しにくくなってしまいます。
また、企業の新卒採用担当はジョブローテーションの一環で行われることが多くたいてい数年で別の役職に移ってしまうため、その採用が良かった・悪かったにしても、もうその採用担当者は別の仕事についてしまっていることもあります。
【2】採用と育成が離れていること
日本の企業は新卒の一括採用が行われ、採用に関わった人と実際に社員を育成する人(人事の育成担当、配属後のメンターなど)が異なる場合が多くあります。(外資系企業では現場の社員が選考にかかわり、部門別採用をしているためこのようなことは少ない)
そのため、「数年後、自社で活躍してくれるかどうか」よりも短期的な「学歴や所属コミュニティ」を重視した採用が行われ、その学生が自社で幸せになれるかどうかは二の次になっている採用がよく見受けられます。
極論をいえば「採用した人が活躍しようがしまいが、その人が幸せでいようがいまいが、数年後に自分は担当者でなくなってしまうため関係ない」と考えてしまう採用担当者も出てきかねません。
そこまで極端に考えていないとしても、採用の責任感が薄いと感じる人を見かけます。
ちなみに私は小規模の企業の人事を担当してるため、「採用する学生が5年後に幸せになれているかどうかを考えて採用する」ということを徹底されていて、幸い充実した採用を行えています。
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